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ロシア製材工場ツアー :2012年5月28日

国産材(杉、桧)のフローリングがほとんどですが、ロシア赤松も原板から仕入れていまして、赤松のフローリングも製造いています。その原板を納品して頂いている大陸貿易さん主催でロシアの製材工場を見学させてもらえる機会があり、参加させて頂きました。

関空・成田で顔合わせ。大陸貿易さんの社長をはじめ、社員さん4名。取引先の商社さんをはじめ、製材所、小売屋25名、総勢30名の大所帯でのツアーとなりました。

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1日目、成田から約10時間のフライトでモスクワへ。昼の12時に出発し、夜10時ごろ着きましたが、時差が-5時間の為、午後5時。長時間の移動と時差で、移動だけでへとへとに。その後、空港からコスモスと言うホテルまでバス移動。1980年モスクワオリンピック開催時に建てられたホテルだそうで、モスクワの中心街から約20キロ離れた郊外にあります。下の写真は部屋から見たモスクワ市街地の写真と、ホテルの写真です。

ちなみにこの写真を撮ったのは夜の10時。夜11時ぐらいから暗くなって、朝3時~4時ぐらいに夜が明けます。この時期、気温は朝、夜は10度~15度、昼は20度~25度くらい。日本よりは少し寒いぐらいでしょうか。ただ天気によってかなり気温が変わるそうです。晴れの日と、雨の日では。寒暖差が激しいそうです。

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空港からホテルまでの道中、日本の車メーカー(トヨタ、ホンダ、ニッサン、スバルなど)がみかけられました。走っている車は日本車の割合がすごく高かったです。とにかく車が多い。どこも大渋滞。運転もあらく、事故車、故障者続出。建物は年数のたったマンションが多数。分譲が少なく賃貸がほとんどだそうです。お金持ちは郊外に一軒家をもち、そうでない人は賃貸。貧富の差がすごく大きいようです。

 

2日目、郊外にある住宅展示場の見学に行きました。モスクワの中心部から約40キロ離れた郊外にたつ、モデルハウス。日本の住宅展示場をイメージしていたのですごいギャップ。広い敷地に家がポツンポツンと。

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ここの宅地で320区画ぐらいありまして、土地が1区画250坪~300坪。建物は施主によってさまざまですが、40坪~60坪ぐらいが平均的に多いようです。土地の値段は㎡単価6,000円ぐらい建物は㎡単価6万円ぐらいが相場だそうです。ただ内装工事は含まず。こちらでは、構造、外装、断熱材などは工事費に含まれるそうですが、内装工事だけ別の会社に依頼するか、自分で工事することが多いようです。

木造軸組工法もあるそうですが少なく、ブロックを積み上げた工法の建物が一番多く、次いでログハウス、パネル(ОSB)工法が多いようです。サッシはもともと木製のサッシだったようですが、冬場は寒さが厳しくなりますので10年ぐらい前から樹脂サッシ(ヨーロッパ製)が入ってきているそうです。ヨーロッパのサッシメーカーはロシアに進出が増えています。残念ながら日本のメーカーはまだだそうです。

また、国の住宅供給政策が進んでおり、着工件数が年に4%~6%増えているそうです。(上記はガイドさんから聞いた話です。)

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ブロック積みの家、ログハウス、パネル工法の家。合計で5棟のモデルハウスを見学させて頂きました。

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左上の写真が内装なし、右上の写真は内装も終えた状態のモデルハウスです。ブロック積みの家は、鉄筋も入っておらず特殊な接着剤(と説明されました??)をブロックとブロックの間に入れ、積み上げていくそうです。強度は大丈夫なのでしょうか。

また、壁材、天井材には赤松の羽目板が使われている建物もありました。

その後、モスクワの市内に向い、昼食後、世界遺産の「クレムリン」「赤の広場」を観光。

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その日の夜にモスクワを出て、バイカル湖から500キロ北に位置するブラーツクへ。ここからが本番、製材工場の見学になります。合計で5社、製材、加工工場の見学になります。

 

3日目、朝にブラーツクに到着。時差がなく日本と同じ時間。日本から3,000キロぐらい離れている地で時差がないのは不思議です。気温は2度。冬みたいです。この時期朝、夜は0度~5度、昼は10度~15度くらい。暖かいところから来たのでこの寒さにはこたえました。

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一度ホテルで休憩し、一件目の製材、加工工場である「ルス・フロアー工場」の見学です。

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建物の広さ、240m×180mとすごい規模の工場です。大きく三ブロックに仕切られておりまして、製材場、加工場、乾燥機と製品置き場と別れていました。丸太からフローリングの加工、列車での出荷まで一貫して行われております。中国などへの原木の輸出、中央アジアや国内向けに赤松フローリング、羽目板、フリー板など製造・販売されておられます。生産能力は月に1,000㎥~1,500㎥、対日本向けに600㎥~700㎥程度出荷されています。

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目のこんだ良い原木です。赤松の原木を見るのは初めてです。サイズはいろいろありましたが25㎝~35㎝ぐらいが多かったです。まずは原木の製材から。丸太は皮むきはせずそのままギャングソーへ。フローリングが主体ですのでこのような製材になるようです。耳付き板になった板を製材機で耳をおとします。

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その後、工場長も一番重要だと言っておられた乾燥の前の桟積み工程。ウチの工場でも2人一組で手作業で行っておりますが、こちらの工場では全部機械です。そら生産する量が違いますからねー。ものすごいスピードで桟積みされていきます。

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左上の写真が乾燥機。(手前に新しい乾燥機3台あったのですが撮り忘れ。)中温除湿乾燥機で温度は80度前後、容量は150㎥~180㎥、乾燥日数は7日~10日。含水率7%~8%までおとすそうです。右上の写真がボイラー室。ボイラー室と乾燥機は正反対の場所に設置されております。冬は-30度までさがるので、パイプを工場内に通し、暖房としても活用されています。

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乾燥後、モルダー加工により、フローリングへ。サンダー加工、シュリンク梱包と丁寧に加工されていました。2mのフローリングはエンドマッチ加工。抜け節、割れなどフローリングには適さない材木は短くカットされ、フィンガージョイントでつなぎ、ホットプレスによりフリー板へ。その他、木くず、製材により出た端材などは木くず焚きボイラーの燃料となり余すことなく材木が使われていました。

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最後に製品倉庫。日本向けのフローリングや羽目板は受注生産の為、出来たらすぐに出荷される為、在庫はあまりありませんでした。製品倉庫内に線路がひかれており、ここでコンテナーに入れられ、列車に乗せて出荷するそうです。どこの工場でもだいたい線路が工場内にひかれているそうです。びっくりです。

ウチの工場も規模は全然違いますが、材木の端材、木くずなどを有効利用できるように考えて行かないといけないなーと感じました。木くず焚きボイラー、設備投資が・・・。

その後、ウスチ・イリムスクへ向けて出発。

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ブラーツクから今夜泊まるホテルがあるウスチ・イリムスクまではバス移動で約5時間・・。かなりきつかったです。左上の写真のような道を走行。舗装はされているのですが、継ぎ接ぎだらけの道。おまけに上り下りが多い。そして永遠と同じ景色が。寝て過ごそうと思っていたのですが、寝れず。バスから降りたとたん、みなさんもふらふらになっておりました。

道端に生えているのは赤松と白樺。若くて細い木で伐採された後だそうです。伐採しやすい道路際は若木が多かったように思います。また植林せず、自然に生えてきているそうです。

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ホテルに着き夕食を食べたあと、ホテル内にあるサウナに行ってきました。みなさんと話をしながらお酒を飲んで、10時前ぐらいに部屋に上がってくると上の写真がその時刻にホテルの部屋から撮った写真。明るすぎる・・。時間の感覚がおかしくなります。夜が明るい?!不思議な感覚です。

 

4日目、朝早くホテルを出てシベリア鉄道に乗りイギルマへ。

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シベリア鉄道は楽しみにしていました。テレビで「世界の車窓から」にも何度か出ていたので。ウスチ・イリムスクからイギルマまで約2時間半。本日は、3件の製材工場の見学です。

まずは1件目。「レスリスールス社(旧イギルマ大陸)」の見学です。

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丸太から製材、乾燥を経て垂木、胴縁、桟木、原板、ラミナなどの製品を製造。月に12,000㎥~17,000㎥の製品の生産をされています。対日向けに6,000㎥~7,000㎥。他にもヨーロッパ、エジプト、中央アジア、国内向けに製造しておられます。あまりピンとこない数字ですよね。樹種は赤松、ダフリカ唐松。上の写真は渡場にある原木。ここにあるだけで3万5,000㎥の在庫だそうです。ウチに入ってくる原版はここで製造されている物です。

ここの工場は3つの工場にわかれています。

まず第一工場

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帯鋸ライン。26㎝以上の丸太が製材されます。皮むきされた丸太が工場内に入ってきて、4台ある製材台車で製材。すべてラインが組まれているので、製材された原板は桟積みの機械まで流れて行き、桟積み。その後外へと出され、しばらく天乾。

第2工場

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チップソーライン。26㎝以下の丸太を製材されています。上の写真のように原木が機械の穴に入り、中にチップソーが左右に4枚ずつ回っているため、鋸の所を通ると4分割され、原版が製材されています。第一工場と同じく桟積みされ、渡場へ天乾。

第一工場では年間に18万㎥の丸太の消費。製品(垂木、胴縁など)は9、5万㎥製造。

第二工場では年間に15万㎥の丸太の消費。製品(垂木、胴縁など)は5万㎥製造。

第二工場で製材すれば製材スピードは早いですが、製品になる歩留りが悪い。かといって細い丸太を第一工場の帯鋸で製材していると能率が悪い。とのことで、生産能率、スピードから26㎝を仕切りに2工程の工場に分けて製材されているそうです。

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その後、乾燥機へ。6台ありまして、1台あたり約150㎥入るそうです。上の写真が1台の乾燥機に入る量です。すごい量です。乾燥機に入っている期間は5日~6日。月、5,5回ペースでサイクルされています。

第3工場

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製品製造ライン。乾燥された原版が運びこまれ、プレギャング、モルダーにより小割(垂木、胴縁など)されます。その後4か所にグレード別に分けられ選別、梱包されていきます。作業員は女性の方が多かったように思います。

積み込み作業

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ちょうど積み込み作業の最中。コンテナーの中にKD原版(日本向けの製品)が積み込まれていました。レールが敷かれた上に製品を積み込み、後ろから押しこんでコンテナーの中へ。あっという間に入っていました。その後、コンテナーを積み込みする重機によって列車へ。おそろしい重機です!輸出入関連の業者さんもツアーに参加されていたのですが、初めて見たと大変ビックリされていました。

その後、工場内の食堂で昼食をとった後、「LDK社、SEL社(セル大陸)」の工場見学。

まず「LDK社」

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主に太物丸太を製材。乾燥を経て垂木、胴縁、原板の製品を製造。月に25,000㎥の製品を製造されています。対日本向けには月に1,000~3,000㎥ほど。ヨーロッパ、国内が主だそうです。丸太、製材品(桟積みされた原板)が渡場に10万㎥。樹種は赤松。

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約100mぐらいの製造ライン。すべてコンピューター制御。すごい設備です。工場の2階に丸太から原版になるまでのラインが設備されており、最後に桟積み機に到達し、桟積みされた山が1階におろされ、リフトにかかえられ渡場へと運ばれていきます。その後、乾燥機に入れられ製品(垂木、胴縁など)を製造する工場へ。

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上の写真が製品工場です。

その後、「SEL社(セル大陸)」へ。

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主に中小丸太を製材。乾燥を経て垂木、胴縁、羽目板の製品を製造。月に15,000㎥の製品を製造されております。対日向けは2,000㎥~4,000㎥ほど。樹種は赤松。

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見学後、3社の幹部と面談。僕は横で話を聞いていただけなのですが。

現在、この3社との取引がある商社や大陸貿易さんとの面談。中国への輸出がかなり減っているそうです。また、ポプラのLVLのような曲りの少なく、品質も良く安価な製品やホワイットウッドなど、赤松に対抗する製品が数多く出てきているそうです。

また、日本の震災後の復興住宅にも目をつけているそうです。復興状況ですが、現在約3分の1程度。ここ2,3年は大きく動くとの話。

その後、夕食を食べシベリア鉄道でウスチ・イリムスクへ戻りました。3社とも、ものすごい規模の製材工場でした。

 

5日目、ウスチ・イリムスクにある「レスプロム社」の工場見学。

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前日の3社には規模が劣るのですが、丸太を製材。乾燥を経て垂木、胴縁、フローリングの製品を製造。月に8,000㎥の製品を製造されています。対日本向けには月に5,000㎥ほど。その他エジプト、国内向けに出荷されているそうです。樹種は赤松。生産能力はもう少しあるのですが、完成品は完全受注生産。渡場には10,000㎥の丸太の在庫、KD原板が5,000㎥。

 

この3日間、ほんとうにすごい規模の工場を見学させて頂きました。大陸貿易さん、ありがとうございました。想像を絶する規模の工場。こんなに資源が豊富で、すごい設備があるのに製造されているのが、垂木や胴縁。なにか他の製品はできないのかなぁと、思ったりもしました。能率をあげて大量生産しコストダウンをはかるとこういう形の工場になるのでしょうね。すごい世界を見せて頂きました。

 

工場見学後、バスで5時間、ブラーツクへもどりました。

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夕方、湖畔でのバンケット。「ルス・フロアー社」のおもてなし。羊の肉のバーベキュー、羊の肉のピラフなどなどたくさんの料理がならびました。ほんとうにおいしかった!ロシアと言えばウォッカ。みなさん、過酷な旅で疲れが溜まっていたのでしょうか。お酒がまわり、たおれていく人や記憶を失う人が続出。僕も例外ではないですが(笑)。ウォッカはすごいお酒ですね。旅の疲れがふっとぶ楽しいひと時でした!

 

次の日、モスクワに戻り(モスクワ経由でないと成田に戻れない為)、おみやげを買いに。またまた大渋滞で買い物の時間が短くなり・・。がなんとか子供にマトリョーシカの人形を買うことが出来ました。その後、10時間のフライトで成田へ。羽田から関空へと無事帰ってきました。帰り、羽田で食べたざるそばと、かつ丼。ほんとにおいしかった!実は、ロシア料理があまり合わず、かなり苦しみました。でもあんまり痩せてなかったんですけどね。

 

こんな貴重な体験をさせて頂いた大陸貿易さん有難うございました。そして勉強しておいでと快く行かせてくれたウチの社長(父親)ありがとう。何か商売につながる、これから商売を広げていくヒントはないかと意気込んで行ったのですが。あまりにも規模が大きすぎると言いますか、世界が違うといいますか。でもこんな世界もあるんだ、どんどん外に出て行かないとと感じることができました。ロシア赤松とはいえ産地は違うけど、同じ材木。ほんとに寒い中で育った目の積んだ良い材でした。ロシア赤松に対しての感覚が変わりました。愛着が持てるようになったと言いますか。あまり大きなことは出来ませんが、海外に目をむける、国産材をという話もでていました。そういう可能性もあるのだと。それに何よりたくさんの方と知り合うことが出来ました。同じ日本にいて、あまり知り合うことが出来ない方々。近日、近畿の人たちで集まり「ロシア会」を開こうという話が。これからもお付き合い宜しくお願いします。

 
 

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